自宅ゲーム会 4/23

「マリア」

オーストリア大公カール6世の死によって後を継いだマリア・テレジアと、そこに介入しようとする周辺諸国との間で起こったオーストリア継承戦争がテーマ。
1年以上前に購入していたものの、なかなか機会がありませんでしたが、ウォーゲーマーであるyさんとKさんに参加していただいて、ようやくプレイすることが出来ました。


このゲームではマップ上に置かれるのは将軍コマだけで、それぞれが何戦力あるかはシートに記録しておきます。
国ごとの総戦力は公開ですが、各部隊が何戦力持っているかは非公開。
移動して敵に隣接したら戦闘のシンプルなシステムですが、自国外では兵站部隊から6マス以内にない将軍は補給切れとなるため攻勢正面は制限されます。


戦闘では各国ごとに配られる戦術カードを使用し、トランプのスートの描かれた2〜10までのカードと0〜8の好きな数字を選べるリザーブカードがあります。
マップはスートのあるエリアで分割されており、部隊のいるエリアと同じスートのカードだけが戦闘で使用できるため、手札によって戦闘したいエリアや回避したいエリアが出てくるのが独特であり面白いところ。
まず両軍の兵力を比較し、その差が開始値となります。
マイナスのプレイヤーはプラスになるまでカードを出し、今度は相手がプラスになるまでカードを出します。
これを繰り返して、カードを出せなくなるか出さないプレイヤーが敗北し、マイナスの数と同じマスを退却させられ、同じ数の戦力を失います。
数の大きいカードがあるに越したことはありませんが、勝てそうにない場合は小さい数のカードで調整してわざと僅差で敗北することも必要です。
このあたりのカードマネージメントはシミュレーションゲームというよりはドイツゲームですね。


まずはフランドルマップを使用しない初級ルールでプレイ。
プロイセンとフランスがオーストリアに侵攻し、決められた数の都市を支配すれば勝利。
オーストリアはそれを阻止すれば勝利です。
自分がプロイセン、yさんがオーストリア、Kさんがフランスを担当。
2正面作戦になるのでオーストリアが厳しいかと思いきや、先のスートによるカード制限で思ったように戦闘がしかけられず、またオーストリア軽騎兵フザールによる補給線の妨害もあってシュレージェンの制圧にかなり手間取りました。
結局プロイセン、フランスとも目標を達成できずにオーストリアの勝利。


とりあえず基本システムは理解できたので、上級ルールでプレイすることに。
自分はフランスを、yさんがプロイセンと国事軍、Kさんがオーストリアを担当。
プロイセンオーストリアと敵対していますが、イギリスやハノーバーの連合軍である国事軍は同じプレイヤーでありながらオーストリア側というアンビバレンツな状態にあります。
いずれの国も手持ちの勝利点マーカーをすべて置ききったら勝利します。
史実を反映した政局カードが導入され、戦術カードを使って入札することで、ザクセンが中立化したり、ロシアやイタリア方面に将軍を引き抜かれたりといったイベントが起こります。


最初から手持ちの戦術カードが多いプロイセンは、全軍をもってシュレージェンで攻勢。
フランスもオーストリア軍を牽制しながら、3部隊でバイエルン国境の都市を支配。
しかしフランドルマップでは、イベントカードでデンマークの増援を受けた国事軍にフランス国内へ侵攻されます。
手持ちカードがハートに偏っており、かなり後退しないと国事軍を迎撃できない苦しい状況に。
このままだとプロイセンか国事軍のいずれかが勝利条件を満たしてしまうため、オーストリアより一時的な講和の申し出があり、フランスもそれを快諾しました。
このゲームでは締結された条約は強制力を持つのですが、この時は深く考えずに口約束だけで終わってしまい、これが後々勝敗に大きく関わってきました。


フランスとオーストリアは毎ターン戦術カードを5枚引けるのに比べ、プロイセンと国事軍は3枚ずつしか引けないため、1対1になれば前者が有利になり、プロイセンはあと1枚勝利点マーカーを置ければ勝利というところでカードを使い果たして攻勢限界を迎えることになりました。
国事軍もベルダンまで南下したところで主力同士の戦闘で敗北し、その後フランスの包囲攻撃を受けて全滅。
今度はフランスが北上してオランダに侵攻。
オランダを守る戦力はほとんどいないため、このまま行けばフランスの勝利かと思われましたが、プロイセンとの戦闘のためにオーストリア領オランダから自国に向かって移動していたアレンベルクの部隊が途中でバイエルンの都市を攻略し始め、オーストリアも勝利目前に。
アレンベルクの移動も講和の際に話し合っていたのでフランドルからボヘミアへのマップ間移動は了承していましたが、明確化しておかなかったのは失敗でした。
政局カードでザクセンが中立化したためオーストリアが部隊を集中しやすくなり、シュレージェンの大部分を奪回し、勝利点マーカーを使い切って勝利しました。


相手の勝利点マーカーを確認しながら短期間での合従連衡が行われるため接戦になりがちで、1点の積み重ねが何気に大きいです。
選帝権の都市の支配を軽んじてしまい、史実と違ってマリア・テレジアの夫のロートリンゲン侯が神聖ローマ皇帝となりましたが、バイエルン候が即位していればその1点でフランスの勝利でした。
初めてのプレイでは、なかなかそこまで読み切れませんけど。


12ターン中9ターンサドンデスで3時間くらいかかりましたが、評判通りの完成度で最後まで楽しくプレイできました。
ウォーゲーマーのお二人にも好評だったようです。
3人ゲームにありがちな2対1になってしまう部分も折り込み済みで、うまくバランスが取られています。
ウォーゲームによくある戦術的なテクニックの要素は少なく、随所にドイツゲーム的なアプローチがされているので、自分のようなウォーゲームから離れて久しい人間でも問題なくプレイできました。
とはいえウォーゲームなのは間違いないので万人向けではありませんが、そこさえクリアできればプレイして損はないかと。